様々な癌(ヒトの肺癌、ヒトの乳癌、犬の移行上皮癌)、各種感染症(マラリア、COVID-19)、低血糖、てんかん発作etc。犬は、我々人類には察知できない「病気に関する」匂いを感じ取る能力を持っている。そして、彼らは、その感じ取った匂い(特に低血糖、てんかん発作に関する匂い)を、何らかの方法によってヒトに伝えるという表現力も持ち合わせているのだ。では実際のところ、彼らは、どのような方法を使って伝えようとしてくれているのか。それを把握することは、犬とヒトのコミュケーションをより深いものにし、且つ、危機に陥った人命をより多く助けることに寄与するものと思われる。
冒頭のような背景の中、クイーンズ大学ベルファストらは、最初に犬を飼っていて「てんかん」を抱えているヒト(①発作前、②発作中、③発作6時間後)と、抱えていないヒトの匂いを採取し、次に「てんかん」を抱えていないヒト19名(匂いを採取したヒトとは別人)とその愛犬に協力してもらって、それらの匂いに対する犬たちの反応を観察する研究を行った。すると、彼らは①②③を察知するとオーナーを凝視し、②を察知するとオーナの足を引っ張ったり足に跳びかかり、②③を察知するとオーナーに長い時間寄り添うことが明らかになったという。また中でも、「凝視」は、統計学的に有意な行動であったとのことである。
上記のことから、てんかん発作前後の匂いを感じ取った犬はオーナーを凝視することが分かる。よって、今後、この「凝視の精度」と「凝視する時間」を算出する研究が進み、愛犬の行動(例え訓練を受けていない犬であったとしても)を観察することで自らを襲う発作に気が付く方法が確立されていくことに期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34438725/