オーナーの希望で家庭に迎えられた犬の中には、オーナーの都合に伴う所有権の放棄によって行き場を失い、屋外を彷徨いながら暮らして、誰に拾われる、または、保護施設へ収容される日を待つといった境遇を経験する個体が居る。その一部は、最終的に里親と出逢い、幸せなペットライフを取り戻せるようになるのだが、一方で、この世から去る運命(安楽死)を辿る犬も存在していることは忘れてはならず、世界的な社会問題として認識し、解決に向けた議論を活発に続けていく必要があると考える。
そこで、
「安楽死を免れる方法とは何か?」
という課題を見つめて、この世生まれた命に役割を与える視点に立ち、以下の研究を紹介したい。
フランスのパリに位置するPSL Research Universityは乳癌の研究をしており、生物学的に嗅覚の優れた犬に協力してもって、再現性の高い早期発見法の開発を試みた。すると、被験者の乳房(皮膚)から分泌されたサンプルをもとに、90%以上の確率で乳癌患者を嗅ぎ分けられる犬が居ることを突き止めたとのことで、同大学は、乳癌に対する匂い検査の確立を目指す方針を固めた。
このことに加えて、乳癌探知犬を世界中のシェルターから見つけ出すシステムが構築されれば、里親はいなくとも、里親の代わりに「安楽死をせずに生きていてもらう理由」が見つかった犬が数多く、医療現場へと華々しくデビューできるのではないだろうか。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30278460