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心臓病を抱える犬における血清中ガレクチン-3濃度を測定した研究

投稿者:武井 昭紘

ガレクチン-3は、様々な疾患における線維化や炎症に関与しているとされる物質で、心臓病、例えば僧帽弁疾患、動脈管開存症、肺動脈弁狭窄症などを有する犬において、ガレクチン-3濃度が測定されている。つまり、同濃度の変動と心臓病の重症度との間にある関連性が明らかになれば、ガレクチン-3は有用なバイオマーカーになり得ると考えることができるのだ。

 

冒頭のような背景の中、韓国の建国大学校は、100匹以上の犬を対象にして血清中ガレクチン-3濃度を測定する研究を行った(市販キットを使用)。なお、供試犬は、①臨床上健康なグループ、②心臓病を持つグループ、③心臓病以外の病気を持つグループに分けられた。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆3つのグループにおける血清中ガレクチン-3濃度◆
・①よりも②③で有意に高い血清中ガレクチン-3濃度を示した
・②のうち特に心室内腔が狭まる求心性肥大の症例で血清中ガレクチン-3濃度は上昇した
・E’/A’と同濃度は負の相関関係にあった
・僧帽弁疾患の症例のNT-proBNPと同濃度は正の相関関係にあった
・同濃度は心臓病の犬が抱える拡張機能障害を感度約67%・特異度約94%で評価できる

 

上記のことから、血清中ガレクチン-3濃度の測定は、犬の心臓における拡張機能の評価や僧帽弁疾患の重症度判定・モニタリングに利用できる可能性があると考えられる。よって、今後、心臓病のステージ、治療経過、病理学的所見、予後などと同濃度との関連性を突き止める研究が進められ、バイオマーカーとしてのガレクチン-3の価値が詳しく評価されることを期待している。

③を細かく分類すると、内分泌疾患または皮膚疾患を持つ症例で、①よりも有意に高い血清中ガレクチン-3濃度を示すとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2021.741210/full


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