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猫の寿命や死亡リスクを左右するファクターを調べた研究

投稿者:武井 昭紘

病気、ケガ、事故、栄養不良、天寿etc。ヒトが飼っている動物は様々ことが要因となって息を引き取るが、無論、健康に天寿を全うすることを多くのオーナーが望んでいることだろう。しかし、全ての動物が「そう」はならない。そこで疑問が浮かぶ。動物たちの寿命を左右するファクターとは何であろうか。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院らは、過去30年間(1989年〜2019年)において大学付属動物病院で剖検された猫を対象にして、彼らの寿命や死亡リスクを左右するファクターを特定する研究を行った。すると、3000件を超えるデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆ 猫の寿命や死亡リスクを左右するファクター◆
・母集団の約84%が雑種であった
・母集団の約6%が不妊手術を受けていないメス、約7%が去勢手術を受けていないオス、約40%が不妊メス、約47%が去勢オスであった
・95%以上の症例で死因を特定できた
・寿命は中央値で9.07歳であった
・悪性腫瘍が最も一般的な死因だった(約36%)
・約41%の症例から悪性腫瘍が検出された
・臓器別の死亡率は多臓器(全身性)に及ぶ疾患が最も一般的であった(約22%)
・約63%の症例で腎臓に組織学的異常が見付かった
・しかし「その異常」が死因となったのは症例の約13%であった
・不妊去勢手術が寿命を大幅に延ばしていた
・FeLV陽性は寿命を短くした
・しかしFIV陽性は寿命と関連がなかった

 

上記ことから、悪性腫瘍、多臓器不全、FeLV感染、不妊去勢手術をしないことが猫の寿命を短くしていることが窺える。よって、猫のオーナーには定期的な健康診断、不妊去勢手術を推奨することが望ましいと考えられる。また、保護猫や室外に出る飼い猫を含めて疑わしい症例ではFeLVのチェックを心掛けることが重要だと思われる。

メス猫のオーナーに不妊手術を薦めることは、多臓器不全(臓器別死因のNo.1)を防止することにも繋がると思います。

 

参考ページ:

https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0278199

https://www.vetmed.ucdavis.edu/news/uncovering-secrets-feline-longevity


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