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ヒトのてんかん発作を探知できる犬の能力に着目した研究と保護犬の殺処分ゼロ計画

投稿者:武井 昭紘

以前、ヒトの肺癌を検出できる犬の能力について紹介したように、何らかの感覚に秀でた動物たちには、ヒトの異変に当事者よりも早く気が付く能力が備わっていると考えられ、本サイトでは、この概念に、殺処分される犬猫の命を一つでも救う想い重ね合わせ、時折、人材発掘ならぬ犬材・猫材発掘のアイデアを提唱させて頂いている。そこで、今回も、ある研究を通して、殺処分を待つ犬に秘められているかも知れない「人命救助の力」を紹介したい。

 

2019年3月、ヨーロッパの大学らが協力して、「てんかん発作探知犬」に関する研究を発表した。

なお、大学らによると、犬を飼育していて、且つ、てんかん発作を起こすヒトを対象にオンラインアンケートが実施され、犬とヒトの絆を図るスケール(Monash Dog-Owner Relationship scale、MDORS)による評価とともに、ヒトのてんかん発作が起きる前に犬が「それ」を察知するか否かについて解析したところ、犬は、絆が深いほど発作の兆候を事前にオーナーに教えることが判明したとのことである。また、同発表には、てんかん発作をヒトに教える犬は、教えない犬に比べて、犬の個性・性格を評価するスケール(Monash Canine Personality Questionnaire refined、MCPQ-R)において、有意に高い得点が出すことも記されている。

上記のことから、保護施設に滞在する犬をMCPQ-Rで評価し、基準点に達した個体を選りすぐって、てんかん発作の恐怖と闘う人々との絆を日々深めていけば、いずれ、オーナーの居ない犬が「てんかん発作探知犬」としての居場所を見つけることができるのではないかと考えられる。よって、今後、日本にある保護施設と研究機関が手を取り合って、「てんかん発作探知犬」の発掘に乗り出していくことに期待している。

てんかん発作を探知できる犬たちの「未知の感覚」についても解析が進むことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30897533


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