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抗てんかん薬に耐性を示す特発性てんかんを抱える犬に対するフィロコキシブの効果

投稿者:武井 昭紘

特発性てんかんの犬の最大30%に認められる薬剤耐性(治療反応性の低さ)は、当該疾患の治療を進める上での大きな壁となっている。しかし一方、ある研究によると、シクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)を介したシグナル伝達を治療のターゲットとすることで、神経組織の異常な興奮を抑制できると報告されている。つまり、COX-2阻害剤、たとえばフィロコキシブの投与によって、この薬剤耐性を克服できると考えられるのだ。

冒頭のような背景の中、ドイツの大学らは、フェノバルビタールの投与でコントロールできない発作を抱える特発性てんかんの犬17匹を対象に、フィロコキシブの効果を検証する研究を行った。なお、本研究では同薬剤を6ヶ月間投与しており、発作の頻度が50%以上減少した場合を「有効」と判定している。すると、18%の症例、僅か2例においてのみに有効であったが、この2例の発作は特に重症だったとのことである。

上記のことから、フィロコキシブは「犬の特発性てんかんに効く」とは言えないことが分かる。だが、一筋の光を見るとするならば、重症例にはフィロコキシブが効く可能性があると言える。よって、今後、フィロコキシブが奏効する症例を特定するための研究が計画され、犬の特発性てんかんの診療レベルが向上することを期待している。

研究全体として、フィロコキシブに対する症例の忍容性は良好だったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.864293/full


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