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糖尿病と診断された猫における内分泌疾患の有病率に関する研究

投稿者:武井 昭紘

内分泌疾患は時に犬猫が糖尿病を発症するリスクを上げるファクターとなる。そのため、このリスクを把握して診断・治療に役立てることは重要なのである。また、可能な限り情報を最新化し、実情に即した医療サービスを展開することが望ましいのだ。

 

冒頭のような背景の中、アルゼンチンのブエノスアイレス大学らは、2年間(2020年2月〜2022年2月)で高次診療施設を訪れ糖尿病と診断された猫150匹以上を対象にして、甲状腺機能亢進症と先端巨大症の有病率を算出する研究を行った。なお、同研究では、全例において血清中のinsulin-like growth factor 1(IGF-1)および総サイロキシン濃度が測定されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆糖尿病の猫における内分泌疾患の有病率◆
・母集団の年齢は中央値で12歳、体重は平均で5kgであった
・約25%が純血種であった
・主な品種はシャムであった(16%)
・約13%の症例でIGF-1が1000ng/ml以上であった
・約2%の症例でIGF-1が800~1000ng/mlであった
・よって約15%の症例が先端巨大症であった
・先端巨大症の60%でそれを疑う臨床症状があった
・先端巨大症の猫の下垂体の高さは中央値で5.8mmであった
・2.5%の症例が甲状腺機能亢進症を患っていた

 

上記のことから、糖尿病の猫に先端巨大症が伴っていることは珍しくないことが窺える。一方、甲状腺機能亢進症を伴うことは稀であることが分かる。よって、糖尿病と診断された猫では先端巨大症の有無を確認し、適切な治療計画を立てることが理想的だと思われる。

過去になされたアルゼンチン以外(アルゼンチンでは本研究が初)の国の研究よりも先端巨大症の有病率が低いとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36779783/


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