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頚部の椎間板ヘルニアを発症したヨークシャーテリアのデータを解析した研究

投稿者:武井 昭紘

椎間板ヘルニアは、犬で良くみられる代表的な神経系疾患である。そのため、当該疾患の疫学を把握して診療に役立てるべく、犬全体あるいは何らかの条件に該当する犬の母集団を対象にしてデータを解析することが重要とされている。

 

そこで、欧州と中国の大学および動物病院らは、過去16年間(2005年~2021年)にスロバキアまたは香港の高次診療施設を訪れた、頚部の椎間板ヘルニアを患ったヨークシャーテリア60匹の診療記録を解析する研究を行った。なお、同研究に参加した犬の椎間板ヘルニアはMRI検査で診断され、外科的に病変部が視認されている。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆頚部の椎間板ヘルニアを発症したヨークシャーテリアのデータ◆
・80%の症例は急性経過を辿った
・約52%の症例が入院時に歩行可能であった
・のべ73ヶ所のヘルニアが外科的に治療された
・約82%の症例が退院時に歩行可能であった
・約77%の症例が発症前の状態に完全に回復した
・入院時の歩行能力はその後の回復の程度と関連していなかった
・しかし入院時の歩行能力は回復に掛かる時間と退院までに要する時間を有意に短縮した

 

上記のことから、頚部の椎間板ヘルニアに対する外科手術を受けたヨークシャーテリアの経過は良好だと言える。しかし一方で、20%強の症例は完全に回復していないことも分かる。よって、今後、経過を良好にする要因、不完全な回復に留まってしまう要因について分析され、治療成績をより更に向上させる治療法が考案されることに期待している。

スロバキアの高次診療施設を訪れ、且つ、神経系疾患と診断されたヨークシャーテリア300匹以上のうち、約10%が頚部の椎間板ヘルニアだったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1148802/full


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