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うっ血性心不全の犬における腸内細菌叢を調べた研究

投稿者:武井 昭紘

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現在、小動物臨床では、腸内細菌叢の変動と様々な疾患との関連性を明らかにする研究が盛んである。おそらくは、このように盛んな理由は、ヒトと同じく、整えられた腸内細菌叢が健康的な体を作り出し、その乱れが病態の悪化を起こすとされているからであろう。一方、話は変わるが、人医療では、心不全のヒトが持つ腸内細菌叢の研究が進んでおり、彼らの腸内ではdysbiosis(細菌叢の乱れ)が起きていると言われている。しかし、心不全の犬において、「ヒトと同じく」、この現象が起きているか否かについては明らかになっていない。

そこで、イギリスの王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、①うっ血性心不全の犬の腸内細菌叢を②臨床上健康な犬のそれと比べる研究を行った。なお、同研究では、両者の糞便サンプルを用いて16S rRNAの配列が解析されている。すると、②に比べて①において、大腸菌群を含む腸内細菌科の量が増えていることが判明したとのことで、同大学は、①の犬の腸内ではdysbiosis(細菌叢の乱れ)が起きていると結論付けたという。

果たして、本研究で認められたdysbiosisは、犬のうっ血性心不全の病態を左右する程の影響力を有しているのか。今後、さらに研究が進展し、プレ・プロバイオティクスによる新しい心不全治療が確立されていくことを期待している。

今回紹介した研究には、15匹の臨床上健康な犬と35匹のうっ血性心不全の犬が参加したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32792610/


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