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「てんかん」の犬と健常犬の腸内細菌叢を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

昨年2019年の3月、ノースカロライナ州立大学が始めた犬の「てんかん」に関するトライアルを紹介させて頂いた。簡潔に述べると、その内容は、「てんかん」の犬における腸内細菌叢を調べるというものであり、同トライアルから成果が得られれば、当該疾患について新たな見解が生れると期待された。そして、2020年7月。どうやら、そのトライアルの一端が発表されたようなのだ。

 

なお、発表を行った大学らによると、詳細は以下の通りである。

◆「てんかん」の犬における腸内細菌叢◆
・①服用歴の無い「てんかん」の犬と②その同居犬が対象(13組)
・両者は同じフードを食べている
・両者の糞便サンプルを用いて16S rRNAの配列を調べた
・その結果、有意差を認められなかった
・サンプルを培養して得られたラクトバチルス属菌のPCR検査でも有意差は認められなかった
・ラクトバチルス属菌の数は、抗てんかん薬の服用によって増減することはなかった

 

上記のことから、①と②の腸内細菌叢には違いが認められず、この細菌叢が「てんかん」の発症・病態進行に関与しているとは言えないことが分かる。残念ながら、今回は成果が得られていないが、今後も、同トライアルのようなユニークな視点から犬の「てんかん」を解析する研究が進められ、想像も出来ない治療法や予防法が考案されていくことを期待している。

ラクトバチルス属菌は、神経系疾患の発症と病態進行に対して保護的に働くとされていますが、本トライアルでは、その裏付けは取れなかったようです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32747877/


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