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犬の骨肉腫に関する疫学を明らかにしたイギリスの研究

投稿者:武井 昭紘

犬に見られる一般的な悪性の骨腫瘍として、第一に骨肉腫が挙げられる。そして、当該疾患は罹患犬の福祉に多大な影響を与えることが知られている。腫瘍の発生確率が高い四肢の治療では断脚を迫られることもあるのだ。そのため、犬の骨肉腫に関する疫学を把握し、早期発見・早期治療、治療法、予防法を確固たるものにするヒントを得ることが重要だと考えられているのである。

 

冒頭のような背景の中、イギリスの大学らは犬の骨肉腫に関する疫学を明らかにするべく、大規模臨床データベースVetCompassに登録されている90万匹以上の診療記録を解析した。すると、330件以上の骨肉腫症例のデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆犬の骨肉腫に関する疫学◆
・有病率は0.037%であった
・スコティッシュディアハウンドの有病率が最も高かった(約3.3%)
・次いでレオンベルガー(約1.5%)、グレートデーン(0.9%)、ロットワイラー(0.8%)が続いた
・骨肉腫と診断される年齢は中央値で約9.6歳であった
・中頭種と比べて長頭種の発症リスクは約2.7倍と高かった
・中頭種と比べて短頭種の発症リスクは約0.5倍と低かった
・軟骨異栄養犬種の発症リスクは「そうではない犬種」と比べて0.1倍と低かった
・体重が重いこと(成犬)は発症確率を上げるファクターであった

 

上記のことから、骨肉腫の発症リスクは特定の犬種で高く、また特定の犬種で低いことが窺える。よって、今後、発症リスクが高いグループと低いグループの相違点を洗い出す研究が進み、断脚以外の治療法および断脚を避けるための予防法が確立することに期待している。

他の犬種と比べて、スコティッシュディアハウンドの発症リスクが約118倍、レオンベルガーでは約56倍、グレートデーンえでゃ約34倍、ロットワイラーでは約26倍高いことが分かっております。

 

参考ページ:

https://cgejournal.biomedcentral.com/articles/10.1186/s40575-023-00131-2


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