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分布域を拡大し続ける東洋眼虫の最新疫学(東ヨーロッパ版)

投稿者:武井 昭紘

昨年、英国で初めて東洋眼虫(Thelazia callipaeda)に感染した犬が確認され、全ての症例が国外からの輸入歴または渡航歴を有する個体であったことが判明している。つまり、当該寄生虫の分布域が変化していることが窺えるとともに、ヒトに寄生した際の視力障害の発症リスクも併せて考慮すれば、多くの国が隣接するヨーロッパ大陸における東洋眼虫の疫学をアップデートする必要があるのではないだろうか。

そのような背景の中、イタリアの北東に位置するハンガリーの大学と動物病院らが、自国内初の東洋眼虫寄生例を発表したのだが、以下に示すことがイギリスの事象とは異なっていたとのことである。

◆ハンガリーで発生した東洋眼虫寄生例◆
①ハンガリー国外への渡航歴および輸入歴が無い
②猫にも東洋眼虫が寄生していることを確認した

上記のことから、東洋眼虫(または媒介動物であるハエの仲間や野生肉食動物の移動)が分布域を急速に拡大していることが推察できる。よって、公衆衛生の観点から、世界標準の防疫策(検疫も含む)を考案し、積極的に啓蒙することが望ましいと思われる。

アジアおよびヨーロッパ全域を対象とした東洋眼虫の疫学的調査が進むことを願っています。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29884211


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