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4000匹以上の猫の体型調査から判明した過体重になりやすい品種

投稿者:武井 昭紘

過体重または肥満は、ヒトや犬猫において、代謝性疾患(糖尿病など)、心臓病(以前の記事をご参照下さい)、関節への負担のリスクが高まるため、治療が必要となる場合がある。また、小動物臨床では、食餌を用意するオーナーにペットの体重管理に関する啓蒙・指導をすることも重要とされている。そのため、世界各地の獣医師が適切なアドバイスを提供できるように、各国の文化・経済事情や飼育頭数の多い品種に併せて、過体重および肥満となる要因を調査する必要がある。

そこで、シドニー大学およびローズビル(オーストラリア)の動物病院は、2005~2015年の11年間に記録された電子カルテから猫の体重・体型に関する情報を抽出して、データ解析を行った。同研究では、4020匹の猫が対象となり、延べ15659回のBCS評価(9段階)が実施されている。調査の結果、834匹(約5%)は標準体型未満、12,362匹(約79%)は標準体型、2,463人(約15%)は過体重であることが明らかとなった。さらに、様々な品種の中で、ブリティッシュ・ショートヘアの純血種および混血種は、過体重となりやすいことも判明している。

上記のことから、ブリティッシュ・ショートヘアのオーナーへの体重管理に関する啓蒙を重点的に実施すると同時に、当該猫種が過体重となる因子(遺伝、品種特異的な体型に伴う理想体重の誤認識など)を解明することが、今後の課題であると考えられる。

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日本の全国の動物病院を対象として、ウェブアンケートなどで過体重や肥満になりやすい猫種を調査することが実現すれば、新しい視点から考案された体重管理法が誕生するかも知れません。

 

参考ページ:

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0167587716304068?via%3Dihub


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