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トリミングに関連して眼に損傷を負った犬のデータを解析した研究

投稿者:武井 昭紘

トリミング店が併設している、あるいは、近隣にある動物病院には、トリミングの最中に負傷した犬が運ばれてくることがあり、その中でも眼の負傷は緊急対応を要するケース少なくない。また、ヒゲを切られて顔の幅が分からないのか物にぶつかり、トリミングの後に眼のトラブルを訴える犬も珍しくないのが現状である。では実際のところ、どのような特徴を持つ犬が眼に負傷を抱える可能性が高いのか。それを明らかにすることは、予防対策を考える上で重要である。

 

前述した背景の中、タフツ大学は、トリミング店の予約日時から24時間以内に眼のトラブルを起こした犬150匹以上(診察件数としては160件以上)を対象にして、彼らの診療記録を解析する研究を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったという。

◆トリミングに関連して眼に損傷を負った犬の特徴◆
・初診時の症例の年齢は中央値で4.9歳であった
・半数以上の症例がオスであった
・70%以上の症例が小型犬であった
・34%の症例がシーズーであった
・33%の症例が攻撃的であった、あるいは、トリミング中に動いていた
・70%以上の症例に角膜潰瘍が起きていた
・次いで結膜炎(11%)、瞼の裂傷(7%)、結膜下出血(6%)が続いた
・症例の14%は外科手術によって治療された(症例の4%は水晶体を摘出している)
・トリミング中の眼のトラブルは外傷、トリミングに使う製品が眼に入ること、気管の圧迫(窒息するレベル)と関連していた

 

上記のことから、トリミングに関連して眼に損傷を負った犬には一定の特徴や条件があることが窺える。よって、今後、シーズーに特化した「安全な」トリミング方法の開発、攻撃的な犬や動く犬のトリミング方法の見直し、トリマーが犬の正しい保定を学ぶ機会の創出をする試みが進み、彼らの眼を守る新しいトリミング技術が世界中に普及することを期待している。

新人トリマーの卒後教育として、動物病院で保定を学ぶ研修が行われると良いかも知れません。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36315866/


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