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ワクチン接種率70%の効果~インドのゴアで実施された狂犬病撲滅プログラム~

投稿者:武井 昭紘

年間に数万人。インドでは、これほどのヒトが狂犬病で命を落としている。これは、実に世界全体の犠牲者の3分の1を占めている。つまり、世界保健機構(World Health Organization、WHO)などが狂犬病の撲滅を目指す2030年計画を現実のものにするにあたって、このインドの実状は解決すべき大きな壁と言って過言ではないのだ。しかし、アフリカやアジアから狂犬病を排除するために利用できる犬の狂犬病ワクチンプログラムは限られており、効率的に排除して撲滅するプログラムが求められているのである。

そこで、WHOおよびインドを始めとする世界各地の大学・政府らは、インド西部の州ゴアにて約5年間に渡る狂犬病撲滅プログラムを実施した。なお、同プログラムでは、特定の地域に居る犬へワクチン接種状況を登録するスマートフォンアプリによって情報共有をする形式が採用されている。すると、ゴアにおけるヒトの狂犬病は撲滅され、犬の狂犬病症例を92%減少させることに成功したとのことである。予防接種をした犬は同地域全体の70%。95000匹以上に達するという。また、プログラム実施に掛かる費用は500ドル強で、インドの1人あたりの国内総生産の4分の1、ゴア州の予算(7000ドル強)の13分の1に収まることも判明した。

上記のことから、シャルル・ニコルの法則の通り、ワクチン接種率70%で感染症(狂犬病)の発生を制御できることが窺える。加えて、費用対効果も高いことが分かる。よって、今回紹介したスマートフォンアプリを活用したプログラムが世界中へ普及し、各地域ごとに狂犬病を撲滅する活動が推進することを期待している。

犬のワクチン接種と同時に、年間15万人の子供に狂犬病に関する啓蒙を行ったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.nature.com/articles/s41467-022-30371-y


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