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狂犬病の撲滅を目指した2030年計画を後押しする犬認証システムの試験的利用

投稿者:武井 昭紘

日本で生活している読者の皆様にとっては大変にショッキングな話になるかも知れないが、年間に約6万人もの犠牲者を出す狂犬病(ヒトにウイルスが感染した例)の95%は、アジアおよびアフリカで発生しており、当該感染症の発生件数の99%は、狂犬病ウイルスに感染した犬に起因したものとなっている。故に、世界保健機構(World Health Organization、WHO)は、「2030年計画」と銘打って、これから先の10年間で狂犬病を撲滅するためのプログラム、つまり、出来うる限り多くの犬に狂犬病ワクチンを接種することを推進しているのだが、世界各地でフリーローミング(放し飼い)されている犬へ効率の良いワクチン接種が大きな課題として立ちはだかっており、それを解決するためのアイデアが常に求められている状況にある。

そのような背景の中、ワシントン州立大学およびバンクーバーに拠点を構えるアプリ配給会社は、同社がリリースしているペットの顔認証アプリPiPを2030年計画に応用する試験を開始したことを発表した。なお、それによると、フリーローミングされている犬たちが、ワクチン接種済みの個体か未接種の個体かを判定するためにPiPを使うとのことで、このアプリが、マイクロチップによる個体識別に取って代わるシステムとなることに期待を寄せているというのだ。

 

大学らは述べる。
『マイクロチップでの犬の管理には時間とお金が掛かる』
『PiPはその時間とお金を節約するための重要な鍵になる』と。

果たして、PiPが2030年計画を後押しして、ワクチネーションプログラムの迅速化に寄与できるか。今後の動向に注視していきたい。

費用と動物に与えるストレスを敬遠して、マイクロチップを導入しない日本のオーナーにとっても、ペットの顔認証システムは魅力的に映るのではないでしょうか。

 

参考ページ:

news.wsu.edu/2020/02/10/facial-recognition-next-step-fight-rabies/


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