イギリスの大学らの研究によると、胆嚢疾患になりやすいとされている他犬種(シェルティー、コッカースパニエル、シーズー)と比較して、ボーダーテリアは80倍以上の確率で当該疾患を発症しやすいという。しかし、その発症確率の高さに関与するファクターは不明で、「品種と病気に高い関連性がある」、つまり「素因がある」と推測されていくのみなのだ。果たして、彼は何故、胆嚢疾患になりやすいのか。それを明らかにすることは、ボーダーテリアの健康を守り、福祉を向上する上で重要なことである。
冒頭のような背景の中、英国小動物獣医師会(British Small Animal Veterinary Association、BSAVA)が関連している慈善団体Pet Saversは、ボーダーテリアの胆嚢疾患(胆嚢粘液嚢腫)を探究するべく、最大30000ポンド(500万円弱)の助成金を提供すると発表した。なお、この助成金制度は、ボーダーテリアのオーナーにしてブリーダーである人物からの17000ポンド(約280万円)にも昇る寄付金がキッカケになったとのことだ。助成金の申請期限は2023年1月31日。同年10月に助成金を提供する先が決定されるという。
今回紹介した助成金は、ボーダーテリアの未来を明るく照らす光となるか。今後の動向に注視したい。また、その光が犬の胆嚢粘液嚢腫の予防法を確立することに繋がり、小動物臨床における消化器診療が進化を遂げることに期待している。
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