「蚊に刺されなければ犬がフィラリアに感染するリスクが減少する」。
ジョージア大学の研究によると、予防薬に頼らずとも「蚊にさされない対策」、いわゆる忌避剤を使用することで、犬にフィラリアが感染することを防げるという。つまり、犬と蚊の接触機会を減らせば、それがフィラリア予防になると言えるのだ。では如何にして機会を減らすか。その一つの方法に関する研究を紹介したい。なお、本稿で紹介する研究は蚊が媒介するヒトの感染症をコントロールするべく行われたものであるが、ヒトと犬に置き換えれば小動物臨床でも応用可能になると思われる。研究を発表した中国は浙江省によると、詳細は以下の通りである。
◆蚊の習性を利用した駆除方法の効果◆
・化学的な殺虫剤を使用しない手段を検討した
・蚊の砂糖を摂食する行動を利用した
・砂糖溶液と粘着シートを用いた蚊の捕獲デバイスを作製した(全体のイメージはリンク先の論文をご参照下さい)
・4つの村を研究エリアをして選択した
・1つの村をデバイスを使用しない①コントロール群とした
・残りの3つ村には砂糖の濃度(②6%、③8%、④10%)が異なるデバイスを設置した
・デバイス使用前後でライトに集まる成虫と水溜まりに居る幼虫の密度を算出した
・使用前において①~④での蚊の密度に差異はなかった
・②~④を設置すると密度が減少した
・④で最も密度が減少した(幼虫減少率は約58%、成虫減少率は約86%)
上記のことから、砂糖と粘着シートを用いたデバイスの設置で蚊の密度を減らせることが分かる。よって、今後、このデバイスのフィラリア予防効果について検証され、予防薬の使用とは異なる視点の予防医学が確立することを期待している。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2024.1364740/full