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注射タイプのモキシデクチンを投与された犬に起きる有害事象に関する研究

投稿者:武井 昭紘

便利なフィラリア予防薬がある。それは注射タイプで、薬剤を1回皮下に投与すれば半年〜1年もの間、予防効果を発揮するものだ。無論、メリットは何といっても月に1回予防薬を飲ませる必要がなくなることである。加えて、モキシデクチンという成分の安全性も優れた点だ。しかし、100%安全な薬剤はこの世に存在しない。ましてや、半年〜1年分の薬剤を1回で入れるのだ。有害事象が一つも無い方が不自然かも知れない。

 

冒頭のような背景の中、アメリカの大学および動物病院グループらは、注射タイプのモキシデクチンを犬に投与した場合の有害事象について調べる研究を行った。なお、同研究では、過去5年間(2016年1月〜2020年12月)において一次診療施設で薬剤を投与された犬を対象にして、投与から3日以内に発生した有害事象について解析している。すると、69万匹以上の犬、来院件数にして140万件近いデータが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆注射タイプのモキシデクチンを投与された犬に起きる有害事象◆
・10000回の投与で14.3件の有害事象が起きた
・若い犬と特定の品種における有害事象の発生リスクが高かった

 

上記のことから、若い犬および特定の品種で有害事象が起きやすいことが窺える。よって、該当する個体に注射タイプのモキシデクチンを投与する場合は、投与から数日の体調変化に注意を払うことが望ましいと思われる。また、有害事象が認められた際は、躊躇せず動物病院に相談することをお薦めする。

同時にワクチン接種をしている犬は除外されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/37380165/


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