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猫の過体重・肥満を改善する内科的治療に関する研究

投稿者:武井 昭紘

一般家庭で飼育されている猫の25~40%が罹患しているとされる肥満は、インスリン抵抗性(糖尿病のリスク)、脂質代謝の変化、肝リピドーシスなどを引き起こすことが知られている。一方、話は変わるが、線維芽細胞増殖因子-21(Fibroblast Growth Factor-21、FGF21)は、ヒトや動物のインスリン抵抗性、脂肪肝(アルコール以外の原因)、肥満を改善すると報告されている。

冒頭のような背景の中、アメリカおよび中国の大学らは、去勢手術を受け、且つ、過体重・肥満の猫(6歳齢)を対象にして、FGF21の効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、猫を①FGF21群(10 mg/kg/day、14日間)と②コントロール群(生理食塩水を投与)の2つに分け、両群の臨床検査所見が比較されている。すると、②に比べて①の体重は有意に減少し(最大約6%)、肝臓内のトリグリセリド含有量が低下傾向にあることが判明したという。また、①ではALPも低下したとのことである。

上記のことから、FGF21は猫の肥満を改善する効果を持っていることが窺える。よって、今後、FGF21の用法・用量を標準化する研究が進み、「病気の一つ」である肥満に対する治療法が確立されることに期待している。

両群の腸内細菌叢、肝臓の弾力、代謝パラメータに差異はなかったとのことです。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.1072680/full


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