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犬の欲求不満を評価するアンケートと彼らのコルチゾールの値を比較した研究

投稿者:武井 昭紘

何らかの欲求が満たされていない状況(欲求不満)は、犬の行動を変化させ、時にその変化が所有者の都合が悪いものとなれば、問題行動として認識される。そのため、彼らの欲求不満を評価し、対処方法を考えることは非常に重要で、イギリスでは犬の欲求不満アンケート(Canine Frustration Questionnaire、CFQ)なるものが開発されている。そこで、疑問が浮かぶ。このCFQは、犬の欲求不満を正確に評価する精度を誇っているのだろうか。

冒頭のような背景の中、イギリスの大学らは、40匹以上の犬のオーナーに①CFQを依頼し、そのうち30匹余りの犬の唾液中に含まれる②コルチゾールを測定する研究を行った。なお、研究に参加した犬たちは、オモチャやフードに近付けない、人間から無視される、30秒間放置されるなどのイベントを経験し、その前後で①や②が評価されている。すると、イベントを経験する前の②が4.0ng/mL未満の犬において、経験後の②とCFQの一部のスコア(PC5:イベントから感じる欲求不満を解消する能力)が正の相関をすることが判明したという。

上記のことから、CFQは、欲求不満を抱えている犬のストレス状態を客観的に評価できるツールであることが窺える。よって、今後、問題行動を起こす犬のCFQスコアを算出するとともに、そのスコアを改善するために最適な行動療法や飼育環境の整備方法を明らかにする研究が進むことに期待している。

PC5には、普段アクセスが許されている物事へのアクセスが遮断された時の様子、やりたい事を邪魔された時に気を散らすことが出来る能力、欲しいものにアクセスできない時にリラックスし落ち着くことが出来る能力が含まれます。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC8698056/


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