ニュース

犬の欲求不満を客観的に評価するアンケート式スケールの開発

投稿者:武井 昭紘

テレビ番組やユーチューブ、そして、オーナーからの証言を基に考えると、犬は、『構って欲しい』、『遊びたい』、『食べたい』などの何らかの気持ちが満たされない時や、飼育環境の変化などにより何かを我慢し耐えている時に、普段は見せない行動を表面化させて訴える性質を有しているように感じる。筆者は、その様子を眼前にし、または、イメージするにつれ、『実に可愛らしい』と微笑ましく思う。だが一方で、おそらく、それらの反応は、一部のオーナーにとって都合の悪いアクション(つまりは問題行動)に見えてしまうのではないかとも推察しているのだ。

 

そこで、今回は、冒頭に記したような犬たちの想いを客観的に評価するアンケート式スケールの開発を試みた研究を紹介したい。

2019年5月、イギリスの大学らによって公開された発表によると、33項目に渡る愛犬の行動変化に関するアンケートを用いて、500人を超えるオーナーから期間を置いて2度回答を得るとともに、項目ごとに信頼性を測り、最終的に21項目に絞った犬の欲求不満アンケート(Canine Frustration Questionnaire、CFQ)を開発したとのことである。更に、実際、各供試犬に対するアンケート結果(オーナーの評価)と研究者の評価を比較したところ、両者は正の相関を示すことも確認されたという。

 

上記のことから、今後、CFQが臨床応用されることで、犬のフラストレーション(欲求不満)という観点から問題行動を解析できる未来が訪れるかもしれない。よって、このCFQが、愛犬の一挙手一投足に悩むオーナーに希望を与える新たな獣医療へと発展することに期待している。

CFQを基にして、猫の欲求不満アンケート(Feline Frustration Questionnaire、FFQ)も開発されていくことを願っております。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2019.00152/full


コメントする