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オーストラリアで発生している後天性特発性巨大食道症の原因と臨床的特徴

投稿者:武井 昭紘

145匹。2017年以降、オーストラリアにて後天性特発性巨大食道症(acquired idiopathic megaesophagus、AIME)を患う犬が増えている。そして253匹。最近の2年間において、ラトビア(フィンランドの南方でバルト海に面している国)でも同様の現象が起きている。果たして、彼らが発症した原因とは何であろうか。一部の症例で疑われているドッグフードが全ての元凶なのだろうか。

冒頭のような背景の中、欧米およびオーストラリアの大学らは、このAIMEの実態を掴むべく、390件以上の症例データを解析する研究を行った。すると、AIMEは主に25kgを超える犬で診断され、逆流、体重減少、誤嚥性肺炎が一般的な症状であることが判明したという。また、ラトビアの症例では軸索の変性を伴う多発性の末梢神経障害(喉頭麻痺、声のかすれ、脱力感)を認め、オーストラリアの症例では食道と咽頭の神経支配のトラブル(多発性の末梢神経障害であるかは不明)が疑われたとのことである。加えて、特定のドッグフードとAIMEの発症に因果関係が確認できたそうだが、その発症に関与している原因物質の特定には至らなかった。

上記のことから、AIMEは、ドッグフードを食べることで起きていることが窺える。では、ドッグフードに含まれる成分の何れが発症に深く関わっているのか。今後、更なる調査とフード製造工程の監視が進み、原因の特定と治療法の確立がなされることを願っている。

大学らは、AIMEの発症には多因子が関与し、且つ、個体側の感受性が影響していると結論付けています。

 

参考ページ:

https://avmajournals.avma.org/doi/full/10.2460/javma.259.2.172


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