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オーストラリアで増加する巨大食道症の犬が食べていたペットフード

投稿者:武井 昭紘

2017年後半、東部の動物病院より、犬の巨大食道症例が増加。
2018年の初め、ビクトリア州の警察犬が巨大食道症を発症。
オーストラリアでは、何故か流行り病のように、当該疾患に罹る犬が増えている。
この原因は、一体、何なのか—–。

 

それを明らかにするために、メルボルン大学は、過去6年間(2012年~2018年)の診療記録を追跡し、犬の巨大食道症の発生率と、その発生に繋がる危険因子を突き止める疫学的調査を行った。すると、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆増加する犬の巨大食道症に関する疫学◆
・発生率は、2014年で0.11%、2018年で0.82%と年々増え続けている
・2013年以降、当該疾患は季節性を伴って発生している(暖かい季節に多い)
・2017年~2018年では、Mars Petcare社のAdvance Dermocareを給餌されている個体が多く発症している(対照群の325倍)

 

上記のことから、前述したペットフードが、巨大食道症の発生に関与している可能性が高いものと考えられる。果たして、このフードに含まれる、どの成分が、同事象の引き金になっているのだろうか(暖かい季節にフードが変質したのだろうか)。そして、2017年と2018年以外の年における発生原因は、何であるのか。更なる調査によって、全容が解明されていくことを願っている。

(画像はイメージです)
Advance Dermocareは、今回紹介した事象をキッカケにして、リコールの対象となりました。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32448348/


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