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短頭種気道症候群の有病率を減らすために適応するデンマーク方式の繁殖計画

投稿者:武井 昭紘

デンマーク方式とは、ドイツの首都ベルリンの北部に位置するコペンハーゲン大学が考案する小動物の繁殖計画のことで、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの僧帽弁疾患の有病率を減らすブリーディングは、イギリスのケネルクラブが導入を決めるほどに有名となっている。

そして、ここに、新たなデンマーク方式が追加される「可能性」が、同大学より発表された。

なお、発表された論文によると、フレンチ・ブルドッグの短頭種気道症候群の有病率を低下させることを目的としてデンマーク方式の確立を試みる研究を行ったとのこで、鼻孔の大きさ(狭窄のレベル)で4段階にグルーピングされたフレンチ・ブルドッグのうち、最も重度の鼻孔狭窄を有するグループを繁殖計画から外すと、研究対象の集団におけるスコア(短頭種気道症候群機能的評価スコア、Brachycephalic Syndrome Functional[BSF] score)が、有意差はないものの、低下していくことが確認できたということである。

上記のことから、鼻孔狭窄を認める個体をブリーディングに用いないことは、フレンチ・ブルドッグの短頭種気道症候群の有病率を減少させる効果があるのかも知れない。よって、更なる研究が進められ、前述したスコアが「有意に」低下するデンマーク方式が開発され、短頭種気道症候群に苦しみ、それが原因でネグレクトさえも受けてしまうことがあるフレンチ・ブルドッグが、1匹でも多く減少していくように願っている。

鼻孔狭窄がある個体全てを繁殖計画から外そうとすると、フレンチ・ブルドッグの出生数がゼロに近づいてしまうとのことなので、今回紹介した研究に用いたブリーディング方式には、まだ改善の余地が残されているものと思われます。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31841527


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