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イギリスで増加する短頭種の保護件数を減らすために行う気道の手術

投稿者:武井 昭紘

フレンチ・ブルドックを始めとして、短頭種と呼ばれる犬種には、呼吸器トラブル(短頭種気道症候群、brachycephalic obstructive airway syndrome 、BOAS)が付き物となり、動物病院での治療や自宅でのケアで大変な経験をするペットオーナーは珍しくない。BOASが全ての原因であるかは不確定であるが、イギリスのロンドンに拠点を置いて犬猫の保護や里親探しから獣医療の提供まで行う慈善団体であるBattersea Dogs and Cats Homeの報告では、短頭種の保護件数が年々増加しているとのことである。その保護件数は、2010年で34件、2015年で70件、2016年で101件となっており、深刻化していることが分かる。

そこで、Battersea Dogs and Cats Homeの獣医師は現状を打開するために、BOASを抱える短頭種の手術を実施する活動を行っている。日本やアメリカの動物病院でもBOASの手術をすることであれば、同様の診療レベルを提供することは可能であると思うが、Battersea Dogs and Cats Homeの獣医療サービスは一歩先を行っている。

同団体が、BOASの手術を行った場所は、ペットオーナーの自宅である。つまり、往診でBOASの処置をしたということで、しかも同居犬2匹(ブリティッシュ・ブルドック)を同時に手術したとのことである。

日本においても、動物の保護を行う慈善団体や殺処分ゼロを目指す自治体が存在しており、里親探しに試行錯誤をしている。今後は、Battersea Dogs and Cats Homeのように、「捨てられる理由」を解消する活動も重要であると認識し、動物に関わる業界が協力していくことが必要なのかも知れない。

なぜ捨てられるのか?について考え、対策を実行することが、保護動物の殺処分ゼロを達成する鍵となるかも知れません。

なぜ捨てられるのか?について考え、対策を実行することが、保護動物の殺処分ゼロを達成する鍵となるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.vettimes.co.uk/news/battersea-facing-increased-need-for-life-changing-boas-surgery/


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