ヒトと比較して、犬は弁膜症になりやすいとされており、中でも、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル(キャバリア)は特に罹患率が高く、死因の約20%が心不全で占められているとイギリスケネルクラブが発表している。一方で、「キャバリア=心臓病」というリンクを断ち切ろうとした動きもあり、デンマークのコペンハーゲン大学の研究(デンマーク方式)では、心エコー図検査所見を反映させたブリーディングを続けると、弁膜症のリスクが70%を超える割合で減少することが明らかとなっている。つまり、長く、健やかに、日常生活を過ごすキャバリアを増やしたいと願っている国や組織にとって、デンマーク方式へのチャレンジが選択肢の一つになり得ると捉えることができるのである。
そこで、イギリスのケネルクラブは、デンマーク方式を導入したブリーディングプログラムを2016年から開始している。なお、同プログラムは、コペンハーゲン大学でトレーニングを積んだ英国の獣医師が中心となって進行するとのことで、成果が聴ける日が訪れる期待感が高いのではないだろうか。
また、日本の小動物臨床に目を向けると、やはり、「キャバリア=心臓病」の印象は拭えない。よって、キャバリアと、そのオーナーの幸せなペットライフを想うならば、将来的に、本国においても、デンマーク方式の検証を行うことが望ましいのかも知れない。
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