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猫が慢性歯肉口内炎を発症する要因を新たに発見した研究

投稿者:武井 昭紘

猫の口腔内に起きる炎症(慢性歯肉口内炎、feline chronic gingivostomatitis、FCGS) は、感染症、免疫異常、腫瘍など、様々な原因により発症し、激しい痛みを伴う食欲低下を生じさせる消化器疾患であるため、治療を要するとされており、幹細胞療法などの新たな治療法の開発も盛んに行われている。しかし、FCGSに対する治療への反応性は、個体により全く違う様相を示すことも珍しくなく、治療成績が安定しているとは言い難い実状にある。故に、現在把握されているFCGSの全容とは異なる「未知の」原因が、何処かに潜んでいるのではないかと推察することができる。

そこで、コーネル大学は、70匹(47%がFCGSを罹患)を超える猫を対象にして、発症要因を探る研究を実施した。すると、FCGSを呈する猫は、口腔内疾患を認めない猫に比べて、多頭飼育されている場合が多いことが判明したとのことである。

上記のことから、FCGSの原因の一つに、飼育環境(複数での飼育)を追加する必要があるのかも知れない。よって、今後、ヨーロッパ、アジア圏においても、猫を2匹以上同時に飼育して世帯を対象に、FCGSの有病率を算出する研究が進められることを期待している。

コーネル大学によると、上部気道の感染症、屋外へのアクセスの有無は、FCGSの発症に関与していないとのことです。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30663939


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