ニュース

猫の慢性歯肉口内炎に対する幹細胞療法の有用性を検証した研究

投稿者:武井 昭紘

猫の口腔内に起きる炎症は、感染症、免疫異常、腫瘍などが原因として挙げられるが、犬と比較した時の投薬の難しさ、ないしは、治療ストレスに伴う食欲低下によって、理論から推測できる経過を辿らないことは珍しくない。しかし、視点を変えれば、内服薬や外科手術に依存しない治療法の開発が、猫に対する獣医療のレベルを大きく引き上げると考えることもできるのではないだろうか。

そこで、カリフォルニア大学は、猫の慢性歯肉口内炎(feline chronic gingivostomatitis、FCGS)を対象に、幹細胞治療の有用性を検証した。なお、同検証では、供試猫とは異なる個体の脂肪組織から分離された幹細胞(adipose-derived MSCs、ASCs)の静脈投与が行われ、FCGS7例中4例が良好な経過となっている(該当しなかた3例は、全身性炎症疾患を抱えているとのことである)。

上記のことから、口腔内に限局した炎症を呈するケースでは、ASCsが充分に効果を発揮できると思われる。よって、今後、ASCsによる治療の適応基準に関するガイドラインの作成と投与経路に関する研究が進められることを願っている。

仮に、径口投与で口腔粘膜にASCsを付着させる技術(ペースト状の剤型など)が開発されれば、顔を撫でている間に投薬が完了できると思います。

仮に、径口投与で口腔粘膜にASCsを付着させる技術(ペースト状の剤型など)が開発されれば、顔を撫でている間に投薬が完了できると思います。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/28618186


コメントする