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猫が感じているストレスを安定してチェックできる尿検査法の開発

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床における猫は、非常にストレスを感じやすいとともに、カテコールアミンの上昇による血糖値・血圧などの変動が大きく、それに続発する各種疾患の発生、QOLの変動、臨床検査結果の解釈の難しさを伴う動物とされており、キャットフレンドリーという概念が生まれるくらいに繊細な一面を持っている。しかし、ストレスを反映しているカテコールアミンは、半減期が分単位レベルの短さを特徴としているため、臨床現場にて猫がどれ程のストレスを受けているのかについて推し測る客観的な指標としては、再現性が乏しいターゲットであることは否定できない。故に、異なるアプローチから猫のストレス評価法(ストレスが検査や罹患率に与える影響の数値化)を確立することが重要であると考えられる。

そこで、スウェーデンのウプサラ大学は、カテコールアミンの代謝産物に着目して、猫の尿検査(ELISA法)の開発を試みた。なお、同大学によると、代謝産物のうち、ノルメタネフリン(normetanephrine、NME)の検出に成功したことに加えて、尿中NMEは室温で8.5時間まで保存できることを確認してとのことである。

上記のことから、尿中NMEは、日常生活の中でペットオーナーが「時間的な無理をせず」採取できるサンプル(排尿から8.5時間後まで検査可能)を用いて、且つ、ELISA法にて猫のストレス評価ができる手法であると言える。よって、将来的に開発されるかも知れない院内検査キットが一般的な尿検査の一つに組み込まれ、いつでも、簡便に、猫のストレス評価が可能となる未来が訪れることに期待したい。

猫砂の上に排尿したサンプルでもNMEが測定できるのであれば、利便性が非常に高くなると思います。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/30136903


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