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膀胱鏡検査で採取された組織を用いた細胞診の悪性所見

投稿者:武井 昭紘

小動物臨床の現場に従事する獣医師が実施する細胞診には常に理想が付き纏う。それは、細胞や組織の評価に優れた病理組織検査の結果に限りなく近付くということだ。では実際、現行の細胞診は、病理組織検査に肩を並べる程の精度を誇るのだろうか。劣るとするならば、改善点とは一体何か。それらを明らかにすることは、臨床検査のレベルを向上させるキッカケになるものと思われる。

冒頭のような背景の中、ピサ大学らは、2名の病理学者に協力を仰ぎ、膀胱鏡検査で採取されたサンプルの①スカッシュ法と②病理組織検査の結果を比較する研究を行った。なお、同研究では60件以上のサンプル(犬)が対象となっており、核、核小体、細胞質に認められる悪性所見や好中球・リンパ球の浸潤の有無などを基に、サンプルを「悪性ではないもの」と「悪性」に振り分ける形式が採用されている。すると、①と②の一致性は優れており、約72%のサンプルが悪性と判定されたとのことである。

上記のことから、①は②と同等の結果を得ることができる検査だと言える。よって、悪性腫瘍の迅速な診断が行いたいと願う獣医師は、①を極めるべく経験を積むことが望ましいと思われる。また、今後、病理学者でなく一般の動物病院の獣医師でも①の精度を高められるように、細胞診のフローチャートやアルゴリズムが作成されていくことを期待している。

同研究では、11の異常所見をスコア化して、サンプルを評価したとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/35854403/


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