猫の扁平上皮癌は、腫瘍性疾患全体の約10%を占める極めて悪性度の高い疾患で、化学療法、放射線療法、外科手術を適応しても、数カ月~半年前後の余命となってしまう。つまり、扁平上皮癌と診断が下された後の生存期間を可能な限り延長できる治療法を模索することは、獣医療における課題と言える。
今年6月、前述のヒントともなり得る研究が、人医療ではあるものの、スイスおよびフランスの大学病院より発表された。
なお、両院は、猫の鼻腔内腫瘍(扁平上皮癌)に対するフラッシュX線照射(FLASH radiotherapy、FLASH-RT)の有用性を検証しており、症例の病状が悪化しなかった期間(progression free survival、PFS)が16ヶ月であるとしている。
上記のことから、FLASH-RTは、猫の当該疾患の予後を劇的に向上させる技術となり得るかも知れない。ただし、FLASH-RTの副作用として、粘膜の炎症、脱毛など認めるため、それらを克服することも視野に入れた研究が検討されていくことに期待したい。
参考ページ:
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29875213