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臨床現場で役立つ基本手技の習得のために作成されたマネキンの効果

投稿者:武井 昭紘

獣医学部生および新人獣医師の大きな悩み。それは、如何にして臨床現場で役立つ基本手技を効率良く習得するかである。頚静脈や橈側皮静脈からの採血、留置処置、FNA、膀胱穿刺etc。無論、生きている動物に協力を仰いで習得するしかないと考える獣医師が多いとは思うが、そのスタイルでは練習台にされる動物にも、手技に不安がある新人獣医師にもストレスが掛かってしまうのだ。では、どうするか。それを考え、実践し、成果を上げていくこと(学生や新人獣医師を育てること)が獣医学の課題である。

冒頭のような背景の中、テネシー大学は、①生きた動物あるいは②マネキン(犬がモデル)で基本手技を学んだ獣医学部生の習熟度を比較する研究を行った。なお、同研究では、学生らに1週間ごとに一つずつ基本手技(頚静脈や橈側皮静脈からの採血、留置処置、FNA、膀胱穿刺)の説明をし、手技を撮影したビデオを見せ、生きた動物あるいはマネキンを用いた基本手技の練習を課し、翌週に生きた動物を相手にして手技(前週で学んだ手技)を再現すように彼らに指示し、その出来を評価するシステムが採用されている。また、一通り手技を学んだ最終週には、全ての手技を評価する機会が設けられたとのことである。すると、いずれの評価においても①と②に有意差は認められず、手技を習得できていることが判明したという。

上記のことから、生きた動物に協力してもらわなくとも、マネキンを用いれば基本手技を習得できることが窺える。よって、手技を自分のものにしたいと願う獣医学部生および新人獣医師は、マネキンを練習台にすることをお薦めする。

本研究で使用されたマネキンは、容易に入手できる材料で作成されております。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36469404/


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