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インドの獣医学部生や獣医師資格取得者に対する不妊・去勢手術教育プログラムの効果

投稿者:武井 昭紘

ある研究によると、フリーローミング(放し飼い)している犬が多い地域では狂犬病の蔓延するという。つまり、彼らの個体数を管理することは、狂犬病に対する防疫対策に通じるのだ。そして、そのためには不妊・去勢手術を数多く実施することが重要となるのである。では如何にして、「数多く」という点を現実のものとするのか。至極単純な話、手術ができる人物を増やすことが可能となれば、その現実は近付いてくると考えられる。

 

冒頭のような背景の中、Worldwide Veterinary Serviceは、狂犬病が発生しているインドの獣医学部生および獣医師資格取得者を対象にして不妊・去勢手術に関する教育プログラムを提供し、効果を検証する研究を行った。なお、同研究のプログラムは、12日間で麻酔管理、術式、抗生剤の使用、術野の管理について学習するものとなっている。すると、220名を超える参加者がプログラムを修了し、以下に示す事項が明らかになったとのことである。

◆不妊・去勢手術教育プログラムの効果◆
・プログラム後に知識に関するスコアが大幅に上昇した(全てのカテゴリー)
・「女性であること」はスコアを底上げするファクターになっていた
・「25~34歳であること」は他の年齢層と比べてスコアを押し下げるファクターになっていた
・大学院を卒業したグループでは年齢が高いほどスコアが上昇した
・またプログラムは手術手技に対する自信を高める効果を示した

 

上記のことから、犬の不妊・去勢手術に関する教育プログラムは、執刀医候補を増やす契機となることが窺える。よって、今後、年齢や学歴に応じて変動する習得度を補正するプログラムが改編され、インドのみならず世界各地に普及していくことに期待している。

プログラム参加者の総数は290名を超えている一方で、220名のみが研究対象になったということで、フェードアウトしてしまう人物の特徴も解析すると、より良いプログラムが構築できるかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2023.942890/full


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