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敗血症に陥った犬の予後を判定するマーカーに関する研究と未来

投稿者:武井 昭紘

敗血症は、体内に侵入した病原菌が血流に乗って全身へ運ばれてしまい、様々な内臓が機能障害(多臓器不全)に陥る現象であるため、生命維持に支障をきたして集中治療を要する場合も珍しくない。また、血液循環が急激に滞る敗血症性ショックに移行するリスクが高まることから、敗血症は余談を許さない病気とされている。しかし、一方で、危機的状況を乗り越えて一命を取り留める個体も存在しており、「生死を分つ因子とは何か?」について調べることは、非常に有意義と言える。

前述のような背景の中で、ボローニャ大学(イタリア)およびコーネル大学(アメリカ)は、細菌感染マーカーであるプロカルシトニン(PCT)と犬の敗血症との因果関係を分析した。なお、同研究では、供試犬を①臓器不全の有無、②予後(生存または弊死)によってグルーピングをしている。

大学らによると、臓器不全やショックに陥った個体では血漿中PCT濃度が上昇するとともに、致死的経過を辿る症例では体外へ排出できるPCTの量(PCTクリアランス)が減少することも判明したとのことである。

以上のことから、PCT濃度測定による予後判定法が確立されれば、敗血症のステージを細分類した迅速な治療が実施しやすくなり、命を救える罹患犬の頭数が増えるかも知れない。

「血液中のPCTを除去すれば、予後不良の敗血症例を救えるか?」など、予後を変える医療技術の開発も進んでいくことを期待しています。

「血液中のPCTを除去すれば、予後不良の敗血症例を救えるか?」など、予後を変える医療技術の開発も進んでいくことを期待しています。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29580242/?i=13&from=dog


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