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犬の正常な副腎と疾患を抱えた犬の副腎を鑑別する超音波検査法の有用性

投稿者:武井 昭紘

生命維持に必須のホルモンを分泌する副腎の病気を診断する上で、超音波検査は非常に有用である。しかし、超小型〜超大型までを擁する犬の副腎のサイズを、彼らの様々な体格・体重を加味して評価することが難しく、情報(明確な基準)に乏しいのが現状である。

 

そこで、タイの首都バンコクに位置するチュラロンコーン大学は、犬の器官(臓器)と大動脈の比が体重と相関することに着目し、①副腎に関連した病気を持たない犬、②下垂体依存性副腎皮質機能亢進症の犬、③副腎に悪性腫瘍を抱える犬を対象にして、④副腎のサイズと、⑤そのサイズと大動脈の直径(収縮期)の比を超音波検査で測定する研究を行った。すると、各グループの大部分が小型犬で同程度の体重と大動脈の直径であったものの、①15例、②15例、③9例、計39例の診療データが集積され、以下に示す事項が明らかになったという。

◆副腎のサイズと大動脈の直径による鑑別◆
・②③に比べて①の④と⑤は有意に小さかった
・②と③の鑑別では⑤よりも④が有用だった

 

上記のことから、小型犬に限定されることとなるが、④と⑤を組み合わせることで①〜③を鑑別できることが分かる。よって、今後、中型以上の犬のデータが集められ、更なる研究が進められることに期待している。そして、今にも増して客観的な副腎の超音波検査法が確立されることを願っている。

③の腫瘍は浸潤性を有していたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36855360/


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