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犬のIBDにおける臨床検査と病理検査の関連性の一端を解析した研究

投稿者:武井 昭紘

犬の消化器疾患の一部は、原因が特定されていないIBD(Inflammatory Bowel Disease)と診断されることがあるが、このIBDは、単一の病気に対する呼び名ではなく、嘔吐や下痢が続く消化器トラブル全般を示す「疾患群の総称」に過ぎない。しかし、病理組織学的には、一様に、リンパ球性形質細胞性腸炎と判定されることが多く、①臨床現場での所見と②顕微鏡学的検査が必ずしも一致しないジレンマがある。

そこで、ドイツのミュンヘンに拠点を置く動物病院は、リンパ球性形質細胞性腸炎の犬270匹の②で確認された各所見に、①を照らし合わせて、関連性の有無を解析した。すると、②のうち、乳び管拡張(リンパ管拡張)および粘膜上皮内リンパ浸潤を呈する個体では、低アルブミン血症、低コバラミン血症に陥っていることが明らかとなった。

上記のことから、IBDにおける①と②の因果関係を細かく一致させていくために、丁寧に、一つ一つ分析することが前述のジレンマを解消して、当該疾患の細分類化と、それに続く治療法の確立への近道かも知れない。

麻酔下の内視鏡検査(病理組織検査が前提)の前に、IBDを細分類できる臨床検査法が普及すれば、ペットとオーナーの負担は大幅に軽減すると思います。

麻酔下の内視鏡検査(病理組織検査が前提)の前に、IBDを細分類できる臨床検査法が普及すれば、ペットとオーナーの負担は大幅に軽減すると思います。

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/29536459/?i=1&from=Moser%20K


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