ヒトの椎間板ヘルニア(intervertebral disc disease、IVDD)には、線維芽細胞増殖因子(Fibroblast Growth Factor、FGF)の遺伝子変異が深く関与しているとされている。しかし、犬のIVDDにおいては、肥満、交通事故、犬種などの要因はあると考えられているものの、①変異遺伝子と、②それに伴う発症リスクについて、充分な検証が進んでいないという現状がある。
そこで、カリフォルニア大学およびテキサスA&M大学らは、全ゲノムシーケンスを用いて、犬のIVDDと遺伝子の「繋がり」を検索する研究を行った。同研究では、オッズ比が採用されており、ある遺伝子変異に対して、「変異なし」と「変異あり」の間におけるIVDDの発症リスクの差を倍率で表示する方式となっている。
すると、解析の結果、第12染色体(CFA12)上にFGF4遺伝子の配列が挿入していることが明らかとなった。つまり、本来あるはずの無い場所、CFA12に、機能を有する遺伝子(FGF4)が、丸ごと、収まっているということである。さらに、この現象によるオッズ比は51.23と算出されており、IVDDの発症リスクを50倍以上に跳ね上げることが確認された。
上記のことから、FGF4遺伝子検査は、将来的に起きるかも知れない犬のIVDDを予見できるマーカーとして、有用であると考えられる。
参考ページ:
http://m.pnas.org/content/114/43/11476.abstract