アルテミシニンは、ヨモギの一種とされる薬草から発見されたもので、マラリアの治療薬の源となった物質である。また、同物質は抗生剤の活性を高めるとも言われており、多剤耐性菌と抗生剤の終わりのない闘いに希望の光を差し込むのではと期待されているのだ。
冒頭のような背景の中、パキスタンの大学らは、アルテミシニンとその誘導体が有するかも知れない抗生剤の増強効果を検証する研究を行った。なお、同研究では、培養された大腸菌に対するβラクタム系およびフルオロキノロン系の効果と、アルテミシニンとその誘導体との関連性が調べられている。すると、これらの物質はペニシリン、アンピシリン、オキサシリンとの間で相乗効果を示し、アンピシリンおよびシプロフロキサシンの最小発育阻止濃度(MIC)を有意に減少させることが判明したという。また更に、アルテミシニンとその誘導体は用量依存的に大腸菌内に蓄積する抗生剤を増やすことが分かったとのことだ。
上記のことから、アルテミシニンとその誘導体は抗生剤の効果を高めることが窺える。よって、今後、副作用は少ないとされるアルテミシニンの安全性が詳しく分析され、且つ、同物質の恩恵を受ける抗生剤を特定する研究が進み、医療および動物医療業界のいずれでも臨床応用されていくことを願っている。
参考ページ:
https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fvets.2022.1048531/full