ニュース

2歳弱のアラスカン・マラミュートが呈した食欲低下と肝酵素上昇の原因

投稿者:武井 昭紘

食欲の低下と肝酵素の上昇の精査のために、もうすぐ2歳となるアラスカン・マラミュート(メス)がイギリスの高次診療施設を訪れた。ドッグフードに馴染みのあるオーナーには縁遠い話かも知れないが、彼女は加熱されていないフード(いわゆるraw food)を与えられていた。果たして、彼女の身に起きた異変は、このraw foodが原因なのだろうか。あるいは、他に原因があるのだろうか。

臨床検査では、胆管肝炎が疑われた。そこで、胆汁の細胞診が行われる。その結果、コクシジウムに属する病原体らしきものが検出された。Hammondia heydorni。症例を発表した王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)によると病原性が不明だとのことだが、クリンダマイシン、マルボフロキサシン、ウルソデオキシコール酸、肝臓病用サプリメントの投与によって、症例は6週間後に回復した。

Raw foodは病原性細菌の付着も問題視されており、ペットのみならずヒトの感染症も懸念されている。そこにHammondia heydorniも追加されることになれば、由々しき事態である。よって、今後、このコクシジウムの病原性や感染経路を明らかにする研究が進み、raw foodを与えることのリスクが明確になり、より深く犬の食餌管理が議論されることに期待している。

PCR検査および遺伝子配列の決定でHammondia heydorniは検出されたとのことです。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36178101/


コメントする