線維腫や線維肉腫など、皮膚や皮下組織などに発生する犬の軟部組織腫瘍は、多様な病理組織学的なグレードを示し、悪性度が高い場合は転移や再発を起こす病気として知られている。故に、その悪性度を把握することが重要と考えられており、把握する手法に関して、様々な研究が報告されているのである。
冒頭のような背景の中、ポーランドの大学は、制御性Tリンパ球の形成に関与して腫瘍の病態を左右する可能性のある因子Foxp3に着目して、犬の皮膚または皮下に発生した軟部組織腫瘍を病理組織学的、および、免疫組織学的に観察する研究を行った。なお、同研究では、Foxp3の他に悪性腫瘍の増殖スピードを速めて再発リスクを高めるKi-67の発現もチェックしている。すると、線維肉腫においてFoxp3の発現が確認でき、その発現は悪性度、Ki-67の発現と正の相関関係にあることが判明したという。
上記のことから、Foxp3の発現は、軟部組織腫瘍の悪性度や再発のリスクと関連していることご分かる。よって、今後、Foxp3を用いた悪性度、再発リスク、予後の判定法が確立され、線維肉腫を抱えた犬の治療方針の決定に活用されていくことを期待している。
参考ページ:
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36881099/