マダニに咬まれると、日本紅斑熱、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)など、様々な感染症に罹患するリスクが高まるため、ヒトは服装(マダニを見つけやすい色)に注意を払い、犬は継続的なマダニ予防を実施することが重要である。前述のようなマダニ媒介性感染症の中に、ライム病も一例として挙げられ、海外ではワクチンが流通している。しかし、病原体であるスピロヘータは、いくつものサブタイプに区分けされており、安定した予防医療の実現には、サブタイプを広範囲にカバーする多価ワクチンが望まれている。
そこで、アメリカのゾエティス社は、北米に分布するボレリア属(Borrelia burgdorferi)に対する多価ワクチンVANGUARD® crLymeをリリースしている。このワクチンは、生物工学で設計された「1つの」タンパク質によって、「7つのサブタイプ」の抗原を発現する特徴を持つ。さらに、1回の接種で15ヶ月間の免疫力が維持できる初めてのワクチンでもある。
日本においても、ライム病は発生しており、ヒトおよびイヌにインフルエンザ様症状(ヒトの重症例は関節炎、脳脊髄炎など)を認めることがあるため、VANGUARD® crLymeを基にして、日本のボレリア属に対する多価ワクチンが開発されることに期待したい。
参考ページ:
https://www.zoetisus.com/products/dogs/vanguard-crlyme/index.aspx