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ドイツ国内には存在しないとされてきたマダニ媒介性疾患に関する最新の疫学的調査

投稿者:武井 昭紘

動物医療分野で寄生虫予防に取り組んでいる世界的企業バイエル社によると、地中海沿岸諸国は、マダニが媒介するEhrlichia canisに感染するリスクが非常に高い地域であるとのことである。一方で、これらの国々に陸続きで隣接するドイツでは、E.canis感染症(エールリヒア症)の報告は無いとされてきた。しかし、輸送・運搬技術の発展と地理的な観点から、ドイツ国内で、エールリヒア症が、いつ確認されても不思議ではないと考えられる。

そこで、ドイツの研究所は、国外に渡航歴がある犬(無症状)を対象として、E.canisの保有率の調査を行なった。同調査では、①2015年の1年間で12220匹、②2016年2月〜3月で1172匹が該当しており、抗E.canis抗体の有無が検査されている(indirect immunofluorescence antibody test、IFAT)。すると、①では11.8%、②では5.6%の犬が抗体陽性であることが明らかとなった。

上記のことから、E.canisは、ドイツに侵入している可能性があると推測できる。今後は、当該国でのエールリヒア症が表面化する前に、IFATを用いた院内検査キットの開発・流通や検疫システムの整備などが急務となるかも知れない。

日本は島国ではありますが、海外との交易をしている以上、エールリヒア症への警戒心や危機感を持って、日常の診療にあることが望ましいかも知れません。

日本は島国ではありますが、海外との交易をしている以上、エールリヒア症への警戒心や危機感を持って、日常の診療にあることが望ましいかも知れません。

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/28905983/?i=10&from=dog


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