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犬の脳生検を高精度化する3Dフェイスマスク

投稿者:武井 昭紘

脳腫瘍など、頭蓋骨内の病変は、MRIまたはCT検査を経て、類症鑑別や外科手術の検討をする場合が多い。この際に、確定診断を下すことも視野に入れているならば、組織生検が必要であると判断されることが推察されるものの、検査のために本格的な手術を施すことは、犬猫に大きな負担を強いるというデメリットがある。そのため、最小限の傷口から効率的に、サンプルを回収する手技の確立が重要となる。

そこで、フロリダ大学は、動物の画像所見を基にした高精度の脳生検を開発することを目的とした研究を開始した。ファーストステップとなる同研究では、神経症状から疑う脳病変と画像検査の異常所見が一致している犬5例が参加しており、各個体のMRIまたはCT検査データを用いて、立体化されたフェイスマスク(3Dプリンタの使用)が作製された。その後、全症例に対して、フェイスマスクでの正確な病変の確認とともに、採材部位に人為的なズレを起こしにくい定位脳生検が行われた。

すると、5匹中4例(80%)において、病理組織学的に有用な情報が得られるということが明らかとなった。さらに、フロリダ大学によると、5例とも、生検後の合併症を認めることは無く、検査から72時間以内に退院したとのことである。

今後、フェイスマスクを「絶対的な」ガイドとした脳生検の研究が進展して、小動物臨床の神経外科分野に幅広く応用されることに期待したい。

上記の研究と同時に、小動物用の定位脳生検機器(一次診療での使用を想定したもの)が開発されると、脳神経外科は目覚しい発展を遂げるかも知れません。

上記の研究と同時に、小動物用の定位脳生検機器(一次診療での使用を想定したもの)が開発されると、脳神経外科は目覚しい発展を遂げるかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

参考ページ:

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/m/pubmed/28843044/?i=1&from=dog


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