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アメリカの動物医療従事者における疼痛スケールの使用状況に関するオンライン調査

投稿者:武井 昭紘

言葉が通じない動物の痛みを正確に把握することは困難である。そのため、その痛みを可能な限り客観的に評価するべく、様々な疼痛スケールが開発された。しかし、忙しい診療業務の中で、獣医師たちがスケールを日常的に利用しているのかは不明である・・・・・。

 

そこで、ミッドウェスタン大学は、全米で動物医療に従事する獣医師と獣医療技術者を対象にして、疼痛スケールの使用状況、そして、使用していなければ「その理由」を聴き取るアンケートを実施した。なお、同調査では電子メールでアンケートが対象者に送信されている。すると、140名以上から回答を得て、以下に示す事項が明らかになったという。

◆全米の動物医療従事者における疼痛スケールの使用状況◆
・約48%がスケールを使用していた(16%は時々使用し、36%は使用していなかった)
・使用しない理由で最も多いものは「そのための訓練をうけていないから」であった(回答者の約52%)
・次いで「忙しいから」が約48%で並んだ
・「信頼性は低い」、「時間が掛かる」、「評価の際に動物が鳴く」ことがデメリットとして挙がった

 

上記のことから、疼痛スケールは開発されたものの、その実用性は臨床現場に合っていないことが窺える。よって、今後、忙しい現場で無理なく使用でき、動物にもストレスを与えない疼痛スケールの開発が進み、正確な疼痛評価と「それ」に応じた疼痛管理(鎮痛処置)が実施されるようになることを期待している。

時間が取られない疼痛スケールの開発が急務だと思います。

 

参考ページ:

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36567384/


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