現在、アメリカでは全世帯数の37%にあたる3200万世帯が犬を飼育しており、そのうち20%(740万世帯)以上が、愛犬の分離不安症や大きな音(特に雷や花火)に対する過敏な反応(ここでは、音恐怖症と表現する)に悩んでいると推計されている。このような犬の「不安定な精神状態」は、薬物療法または行動療法によりアプローチされることがあるが、効果には個体差が認められたり、治療の有効性が実感できるまでのペットオーナーの精神的負担は大きなものとなる場合がある。
そこで、アメリカのフロリダ州フォートローダーテールにあるZenCrate社は、犬の音恐怖症を緩和するための「避難所(商品名:ZenCrate)」を開発・販売している。この製品は、犬が中に入るとリラックスをさせる音楽が流れる仕組みになっているため、犬が不快と感じる音(雷・花火など)を遮断する効果がある。さらに、一般的な犬小屋に類似した形状(扉の無い木製ケージの形)で制振構造を実現しており、恐怖感の原因となる「音の振動」も制御することができる。加えて、以下に記載する備品も揃えられており、利便性が高いものとなっている。
<ZenCrateの利便性>
1.90ポンド(約40kg)の犬まで対応
2.整形外科疾患にも対応できる形状記憶マットレス
3.停電時(悪天候時など)にも作動するバッテリー
4.喚起ファン(犬が製品本体内に居る時に作動)
5.カメラオプション(オーナーが不在時にペットの様子をスマートフォンで確認できる)
6.組み立てに特殊な工具が必要ないこと(5分程で設置完了)
7.450ドル(約5万円)から購入可能
上記のことから、現行の治療法でコントロールできない犬の音恐怖症や薬物療法を避けたいと希望するペットオーナーに対しては、ZenCrateのようなを設備(犬と音の物理的遮断)を検討することが良いかも知れない。今後、日本のペット業界および獣医療においても、「快適な犬の避難所」が開発されて、動物の行動療法および精神疾患の治療の補助として発展していくことに期待したい。
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