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獣医療現場における疼痛管理に応用されたウェアラブルデバイス

投稿者:武井 昭紘

近年、携帯できる電子機器(電話、辞書、手帳、CD・DVDプレイヤー、タブレットなど)が数多く製品化され、技術を最大限に活用して日常生活が快適に過ごせる時代であると言える。その中で、ウェアラブルデバイス(携帯するのではなく、アクセサリーや衣服のように身に付ける電子機器)の開発も進み、ゲームや模擬体験ができるVR(バーチャルリアリティ)、心拍数や活動量を測定するApple Watch・スマートウォッチが流通するようになり、日々の健康管理から非日常的な貴重な経験まで、幅広いことを気軽に楽しむことが可能となった。そして、このウェアラブルデバイスは、ヒトに限定した開発だけではなく、ペット産業にも焦点を合わせて開発されているので、紹介したいと思う。

マサチューセッツ州バーリントンにあるPetPace社は、ペットオーナーおよび獣医師向けにウェアラブルデバイスを開発しており、ペットのTPR(体温・心拍数・呼吸数)、活動量、姿勢、消費カロリーをモニタリングできるSmart Collarという機器を販売している。また、Smart Collarには、更にもう一つの特徴があり、HRV(心拍間隔変動、Heart Rate Variability)も観察できて、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスをチェックすることが可能となっている。つまり、ペットにおけるHRVのモニタリングで、痛みや不快感の有無を推察できるということである。

これを裏付けるように、参考ページでは、外科手術後の疼痛管理にSmart Collarが重要な役割を果たした事例が紹介されている。今後、Smart Collarと疼痛管理の研究データが蓄積されれば、本格的な臨床応用が実現するかも知れない。そうなれば、術後や入院中のペットのモニタリング機器は大掛かりで高価なモニターを使用するのではなく、Smart Collarとスマートフォン(またはタブレット)があれば完結するのではないだろうか。

手術や入院管理で、配線が何本もあり煩雑になりやすいモニタリングが、解消される日は近いかも知れません。

手術や入院管理で、配線が何本もあり煩雑になりやすいモニタリングが、解消される日は近いかも知れません。

 

参考ページ:

http://www.prweb.com/releases/petpace-post-op/pain-case-study/prweb12775824.htm

http://petpace.com/


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