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初めて開発された犬インフルエンザウイルスに対するワクチン

投稿者:武井 昭紘

昨年11月・12月は、比較的暖かく過ごせる「暖冬」だった印象である。しかし、今年に入り、強い寒気による大雪がニュースとなっている。寒さが厳しくなれば、天候以外にも、インフルエンザウイルス感染症には注意が必要となるであろう。インフルエンザウイルスはヒトだけではなく、小動物である犬にも感染する種類がいるため、アメリカでは愛犬の感染予防も重要である(将来的には日本も該当するかも知れない)。

犬インフルエンザウイルスには、昨年10月の記事に記載したH3N8と2015年にアメリカ国土の半分以上で流行したH3N2というサブタイプがある。ウィスコンシン大学の研究報告では、H3N2はH3N8よりも感染力が強く、感染期間が24日間以上と非常に長いことが特徴があるとのことである。この2つのサブタイプによる感染・流行では、死亡例も報告されていることから、予防方法の確立は急務であると言える。

そこで、メルクアニマルヘルス社は、犬インフルエンザウイルス(H3N8およびH3N2)に有効であるワクチンを開発した。そして、この二価ワクチンは、アメリカ農務省の承認を受けて製品化されることなった。臨床現場で実際に使用する場合は、7週齢以降の犬で、2~4週間間隔で2回ワクチン接種をすることが推奨されており、アメリカで広く使用されることが推測できる。

今後、日本においても、犬インフルエンザウイルス感染症が報告されるような事態となれば、上記のワクチンは必須となるかも知れない。そうなると、狂犬病ワクチン、混合ワクチン、フィラリア予防(注射剤)などの既存の予防に、犬インフルエンザワクチンを組み込んだ「新たな予防スケジュール」の作成が必要となるであろう。

新たに発見される感染症に対するワクチンが開発されれば、それに合わせた予防スケジュールの確立も重要となってきます。

新たに発見される感染症に対するワクチンが開発されれば、それに合わせた予防スケジュールの確立も重要となってきます。

 

参考ページ:

http://www.veterinarypracticenews.com/merck-dog-flu-vaccine-approved/


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