犬のインフルエンザウイルス(CIV)は、2004年に発見され、サブタイプはH3N8と同定された。
犬がCIVに感染すると、ケンネルコフに類似した咳、くしゃみ、鼻汁(パスツレラやマイコプラズマの二次感染による)、流涙、嗜眠、食欲不振など軽度の症状を認めることが多い。一部の症例(特に1歳未満の子犬、7歳以上の高齢犬)では、重症化しやすく、高熱(40~41℃)、呼吸数の増加、努力性呼吸、肺炎(肺葉のコンソリデーション)を呈することがある。CIVによって起きる咳は、抗生剤や鎮咳薬で治まらず、10~21日間持続する。
この犬インフルエンザが、アメリカのイリノイ州、ウィスコンシン州、インディアナ州で流行し、1000匹以上の犬が感染し、5匹の死亡例が報告されている。 そこで、シカゴ獣医師会(Chicago Veterinary Medical Association 、CVMA)が、CIVに対する予防措置をすることを推奨している。
CIVは、環境中で最大2日間、手指や衣類に付着した場合は最大24時間、感染力を有する。そのため、CIVに感染した疑いのある犬を診察する上で以下の事に注意する必要がある。
・診察後に手指、衣服、診察機器の消毒をする
・動物病院においてCIV感染犬と非感染犬の 出入り口を分ける
・CIVに感染した疑いのある犬は2週間隔離をする
・CIVのワクチン接種を行う
・飼い主さんへの啓蒙(愛犬に疑わしい症状がある場合は獣医師に連絡)
CIVが、一度、流行し始めると、終息させるには多くの時間と労力が必要となるため、獣医師と飼い主さんが協力して注意を払っていく必要があると思われる。現在は、アメリカで起きている問題ではるが、日本で流行する可能性も否定できない。アメリカでは死亡例が出ていることから、日本では未然に防ぎたいものである。
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