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慢性腸症の犬に起きる腸線維症の臨床的意義とメカニズムを明らかにする研究

投稿者:武井 昭紘

ヒトの炎症性腸疾患にみられる腸線維症は、犬の慢性腸症(Canine chronic enteropathy、CE)における病理組織検査でも認められることがある現象である。しかし、そのメカニズム、有病率、臨床的意義については不明で、治療のターゲットになり得るのかは分かっていないのが現状である。

そこで、王立獣医科大学(Royal Veterinary College、RVC)は、CEの犬を対象にして、腸線維症の臨床的意義を明らかにする研究をスタートとすると発表した。なお、同研究では、レニン-アンギオテンシン-アルドステロン系に着目しており、この経路が犬の結腸に分布する筋線維芽細胞の増殖、および、その細胞が担うコラーゲンの分泌に、どのように影響するかを調べるとのことだ。また、アンジオテンシン変換酵素阻害剤やアンジオテンシン受容体拮抗薬の効果も検証する予定だという。

果たして、同研究を契機として、腸線維症のメカニズムの一端が解明されることになるだろうか。そして、犬のCEに対する新たな治療法が確立されることになるだろうか。研究の成功を願うとともに、今後の動向に注視したい。

研究はex vivo(生体組織を体外に取り出して研究に用いる)の形式で行われるとのことです。

 

参考ページ:

https://www.rvc.ac.uk/study/postgraduate/phd/studentships/the-association-between-intestinal-fibrosis-and-dysregulation-in-the-systemic-and-intestinal-renin-angiotensin-aldosterone-system-in-dogs-with-chronic-enteropathy


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